そうですね、それはもちろんしてますけど、言うタイミングがむっちゃ遅かったので、申し訳なかったなぁとは思ってますけどね。『結婚するよ』ってぐらいの頃で、基本的にそれ以外は言ってないですね。

抗がん剤治療だけですけど、まぁデータも何もなくて、それこそ『子どもができるか』とか、『何も影響ないのか』っていう事はもちろん気になったなぁ。

僕が調べた限りでは、普通の雑誌に『問題ない』っていう文書があったから、「問題ないやろなぁ」とは思ってた。

そういう病気やったからといって、結婚とかそうしたことに関してデメリットはなかろうと自分の中では思っていて、だから早めに言わなかったていうこともあるな。

でも、普通に考えたら、やっぱりもっと早く言ったほうが誠実かなと今は思っています。その時は結構強気に思ってて、振り返るとやっぱり奥さんを「傷つけてしまったかな」とは思ったので、それはずっと後悔しているところではありますね。

結論から言うと、その人の好きにしたらいいかなと僕は思ってるんです。

なんていうか、『がん』っていう大きな病気やから、今までの人生の中でもそれなりの大きなエピソードになってるんよね。

でも、よくあるのは、「昔、自分はこういう風な病気やった」って誰かに言ったら、「僕も子どもの時入院して、川崎病で大変やった」っていう人に会うってこと。

それを聞いた時、川崎病って確かに風邪や肺炎に比べれば大変やけど、「がんに比べたら…」と思ってしまうこともある。

でも『大変』っていうのは、人それぞれのレベルっていうのがあるから、みんなきっと『大変』な経験してるんよね。

例えば自分じゃなくても、「実はうちの家族、1人刑務所入ってんねん」とかさ。まぁみんな色々あるのよ。

それを『人に言うかどうか』っていうのは悩むけど自由だよね。みんな迷うと思うねんけど、それは本人が決めることやと思う。いろいろな気持ちはあると思うけど。

まぁ「言わんと誠実ではないかな」と思う気持ちの方が多いと思うので、そう思うんだったらやっぱり言ったらいいと思うし。また僕みたいにズルかったら、得する方をとっといたらいいかなと僕は思ってますけど。

さっき言った、僕が「子どもの時、がんやってん」って言うて、「俺も子どもん時、川崎病やったんや」っていう話、向こうからしたらがんと川崎病と同じレベルになっているから、「え？」と思うけど、逆に言うたら、『その程度に思ってくれた』っていうのはいいかもね。

『価値観』って人それぞれ。病気に対するイメージも違うから「自分の考え」と「相手の考え」がいつも同じっていうわけではないと思っといたらいいかなと思います。それが良いこともあれば悪いこともあると思うんですけど。